小型株投資の日記

株式投資の記録

昭和恐慌の研究

 昭和恐慌の研究 岩田規久男編著 2004年発行を図書館で借りて、読んでいます。膨大なデータによる研究書で、専門家で無い自分には読むのが大変です。
 
 現在の日本のような深刻なデフレに陥った事例を探すと、昭和恐慌(1930-31年)に行き着きます。80年も昔のことですが、非常に貴重な事例と言えます。
 
 当時の新聞や雑誌には、デフレはすばらしい、デフレを脱却するとハイパーインフレになる、将来伸びるために今は耐えよ、構造改革が重要だ、経費削減と合理化だ、などという現代でも聞いたことのあるフレーズであふれており、現在の日本との類似点も多々あったと指摘されています。
 
 
 昭和恐慌の時のデフレ脱却は、金本位制からの離脱と日銀の国債引き受けの2段階であったと分析されています。詳細については要約も難しいので、重大な出来事と変化を並べてみます。
 
●1931/12 金本位制から離脱
金本位制離脱の3か月前頃から予想インフレ率が急上昇(満州事変などがあり、金本位制離脱を折り込んだ?)
・1931/11、49ドル/100円⇒1932/3、32ドル/100円(急激な円安)
・株価は金本位制離脱後に一時的に30%程度上昇し、下がる
 
●1932/3 国債の日銀引き受けアナウンス
・アナウンス後に予想インフレ率上昇
・1932/3 、32ドル/100円⇒1932/12、21ドル/100円(急激な円安)
 
●1932/11 日銀引き受け開始
・引き受け開始前後で物価急上昇(ただし、予想インフレ率は既に上昇していたので、引き受けの影響では無いかも知れません)
・株価は本格上昇へ~50%
 
●1933/2頃 アメリ金本位制離脱
・21ドル/100円⇒30ドル/100円(急激な円高
 
 
金本位制は通貨発行量が金保有量で制限されるので、デフレになりやすく世界恐慌の原因とされています。
 
 予想インフレ率と為替の強い相関があったこと、国債の日銀引き受けは効果が高かったことが分かります。昭和恐慌のデフレは、金本位制であったことを考えると現在のデフレよりも金融的な側面が強いという印象も。また、デフレ脱却時に軍事支出の増大があったのですが、それが必要であったかどうかは良く分かりませんでした。