小型株投資の日記

株式投資の記録

円高の正体

 為替に関連する本の2冊目で、安達 誠司さんの”円高の正体”を読みました。説明が丁寧で筋も通っており、良書だと思います。
 
内容
円高は輸出産業、輸入産業などそれぞれの立場で良かったり悪かったりするが、日本全体にとっては明確に「悪」である。それは円高の進展と連動して、名目GDPが減少していることからわかる。
円高は、日米の予想インフレ率の差によってもたらされている。
・日米の予想インフレ率の差を縮小するためには、日本銀行が大規模な量的緩和政策(マネタリーベース拡大政策)を行うことが必要
・日銀のマネタリーベース供給量を200兆円(今は120兆円程度)に拡大すれば、1ドル115円程度になり、インフレ率3%と名目経済成長4%が可能となる。
 
その他の指摘
・「強い円は、強い経済のあらわれ」という元日銀総裁速水優氏の主張は全くの誤りで、1998年以降円高が進んでいるが名目GDPは減少している
円高で日本の景気は悪くなるため、税収も減り続けており、財政危機の一因となっている
などなど
 
感想
 データも豊富で、この本の内容は良い指摘だと思います。
 
 他にも数冊読んでみましたが、デフレ、円高、株安、景気悪化、賃金の減少、就職難、財政赤字拡大という現在の日本の問題は関連していて、悪い流れを断ち切れるのは日銀だけのような気がします。少なくともデフレについては日銀が解決すべき課題のはずですが、当の日銀はデフレや円高が良いと考えているため量的金融緩和に対して非常に消極的。この状況で消費税増税をやっても景気が悪くなる一方で、税収は増えないし。
 
 結局、為替や日本株の動向は日銀の政策に依存するところが大きく、先が読めません。個別株投資ならあまり考えすぎないほうが良いかも知れませんね。